
パフォーマンス・安定性アップデート
2026年6月10日皆さま、こんにちは。Bonfireのエンジニア、シモン(Szymon)です。
現在私たちが進めている、パフォーマンスと安定性の改善作業に関する最新情報をお伝えします。
今年初めにSteam Nextフェスでデモ版を公開し、多くのプレイヤーに初めて『アーケロン』をプレイしていただきました。このデモの目的は、より多くの方々をコミュニティにお迎えしてフィードバックを収集し、リリース前に何を最優先で対応すべきか、より明確な知見を得ることにありました。
この試みからは多くの気付きが得られました。中でも特に大きな課題となったのが、激しい戦闘が発生した際に多くの環境でFPS(フレームレート)が低下し、不安定になるという点です。
最適化の余地があることは認識していたものの、DiscordやSteamフォーラムに寄せられた具体的なデータや反応を見るまでは想定以上に最適化が追いついていないことに気付けずにいました。率直に申し上げて、当時の状態は決して褒められたものではなく、早急な改善が必要でした。
そのため、パフォーマンス担当の開発チームはこの8週間、改善作業だけに集中して取り組んできました。私達はいわば改善に専念できる隔離された環境に身を置き、現在の最優先事項であるパフォーマンス向上だけに全力を注いでいます。
ここからは、これまでに実施した対策、現在進行中の取り組み、そして今後皆さまにご協力いただきたいことについてご紹介します。
これまでに実施したこと
現在、私たちは主に以下の4つのカテゴリーに重点を置いて取り組んでいます。
可視化 (問題の原因を正確に追跡できるようにする)
FPS (CPUとGPUのパフォーマンス最適化)
ロード時間 (ゲームが起動・開始するまでの時間短縮)
ゲームプレイを妨げる問題 (クラッシュやPingの改善)
可視化
まず着手したのは、パフォーマンスの推移を追跡するためのダッシュボードと指標の強化です。現在、全体で毎週ミーティングを行い、FPS、ロード時間、マッチメイキングの品質、カクつきや引っ掛かり、同期ズレなどのデータをレビューし、改善が順調に進んでいるかを確認しています。
また、CPU処理負荷の内訳、GPUの処理時間、クラッシュ直前の状況などについて、より高精度なデータを収集できるようになりました。さらに、ゲームがまったく起動しないという方に向けて診断モードを追加しました。起動時にShiftキーを押し続けることでご利用いただけます。
FPS
データから明確になったのは、大多数のプレイヤーの環境においてCPUバウンド(CPUがボトルネックになっている状態)が発生しているということでした。つまり、CPUの処理が追いついていないため、高性能なGPUを搭載したPCでもゲームの動作が重くなっていました。
これまでにも地道な最適化を数多く重ねてきましたが、今回のバージョン0.20には、ほとんどのプレイヤーが違いを実感できるレベルの2つの大規模なエンジン変更が含まれています。
昨年末から着手していた1番目の変更は、ビジュアルエフェクトシステムの全面的な書き換えです。従来のシステムは非常に動作が重かったため、マルチコアCPUで効率的に動作するようゼロから完全に作り直しました。これだけでメモリ使用量をすでに約4GBも削減できており、激しい戦闘中のパフォーマンスも体感できるレベルで向上するはずです。
次はレンダーフレーム構築方法の刷新でした。従来は多くの処理がメインのCPUスレッドに集中してしまい、他の処理の並列実行を妨げていました。これを、レンダリング処理と次フレームのゲームシミュレーションが並行して実行されるように作り直しました。お使いのPCに十分なCPUコア数があれば、この処理負荷の大部分が解消されます。
また、プレイヤーの皆さまが経験している微細なカクつきの解消にも取り組んでいます。
これは主に不要になったメモリの解放処理にかかる時間の削減、そしてプレイヤーのUI状態が変化した際にシステムが行っていた不要な処理の削減によるものです。
CPU負荷が主な原因である一方で、GPUの使用率も理想的な水準に達していないことが判明しました。そこでアートチームは、地形の消失、ライティング、HLOD(Hierarchical Level of Detail)など、タワー全体の環境エフェクトに対して大規模な最適化を実施しました。
HLODとは、カメラから遠く離れたオブジェクトを低いディテールで描画する仕組みです。これにより描画命令を削減し、よりシンプルで高速な素材を使用できるようになります。
結果として、パフォーマンスと画質の両方が向上する見込みです。
動作環境(PCスペック)変更について
最後にもう1点お知らせがあります。より安定して60fpsでゲームをプレイするために実際に必要となるスペックを反映すべく、Steam上の最低動作環境および推奨環境を引き上げます。今後は「6コアのCPU」が基準となります。ただし、GPUの要件はほぼ据え置きで、メモリ要件についてはビジュアルエフェクトシステムの改善により軽量化しました。
推奨環境
Windows 10以降
Intel Core i7-9700K(または同等の8コアCPU)
Nvidia RTX 2070(VRAM 8GB)
RAM 16GB
SSD 空き容量35GB
最低動作環境
Windows 10以降
Intel Core i5-9600K(または同等の6コアCPU)
Nvidia GTX 1060(VRAM 6GB)
RAM 12GB
SSD 空き容量35GB
アーケロンはコンソールでのリリースも計画しており、これらのデバイスでも快適に動作させる必要があります。
ロード時間
ゲームを起動する際、クライアントのバックグラウンドでは非常に多くの処理が行われています。サービスへのログイン、ゲームプレイに使用する全アイテムやアニメーションの事前ロード、そしてプレイ中のカクつきを抑えるための素材やエフェクトの最適化処理などです。
このプリロード時間を短縮するため、ファイル数を約4万から約8千へと集約するパッキングアルゴリズムを実装しました。これにより、特にHDDなどの低速なストレージ環境において、ロード時間が大幅に短縮されるはずです。
その代償としてアップデートのサイズはやや大きくなりましたが、現状のロード時間を踏まえ、今回はこの短縮化を最優先すべきだと判断しました。
また、マップへの降下時やテレポート時には、ローディング画面の演出を新たに追加しました。これにより、スポーンした直後にワールドの読み込みが間に合わず、グラフィックのない空間を走り回るような問題が解消されます。
さらに、前述した新しいビジュアルエフェクトシステムのおかげで、ロード中のエフェクトウォームアップがほぼ不要になり、ロード時間は一段と短縮されています。
ネットワーク/Ping/マッチメイキング/進行を妨げる問題
これまで切断や原因不明なエラー、クラッシュ、フリーズなどにより、そもそもゲームに参加できないプレイヤーが少なからず存在していました。ゲームの進化に伴う原因の特定は容易ではありませんでしたが、今回のアップデートでこうした事例の多くに対処しています。
また、Ping(遅延)が高いプレイヤー向けにラグ補正システムを改善し、サーバーがクライアントからのヒット判定(攻撃の命中など)をより正確に検出できるようになりました。
今回の取り組みの成果として、より多くの方がスムーズにゲームに参加できるようになり、プレイ中のフレームレート向上や、映像のボケや描画の乱れの軽減を実感していただけるはずです。
今後の課題
激しい戦闘時のFPSについては、まだやるべきことが残っています。
今後より多くのシステムを並列化してCPUコアを有効活用できるようになれば、さらなるパフォーマンス向上が見込まれ、新しいビジュアルエフェクトレンダリングシステムの真価も発揮されるようになります。この対応が完了すればアーケロンの最低動作環境を再び引き下げ、より多くのプレイヤーが戦闘時でも快適なフレームレートを出せるようになる見込みです。
また、新しいランタイムの安定性が確認でき次第、NVIDIAとAMDの最新SDKを統合し、ハイエンドGPU向けにフレーム生成機能を提供することも検討しています。高性能マシンのパワーをさらに引き出す選択肢となりますが、こちらの実装には数ヶ月ほどお時間をいただく予定です。
クラッシュとバグについては、エンジンに大規模な最適化を施したため、これらの変更が皆さまの手元に届く過程でいくつかの新たなバグが表面化することが予想されます。
バージョン0.20のリリースから次回のアップデートまでの間、コミュニティの皆さまが発見した重大な問題に対して迅速に修正パッチを適用できるよう、チーム一丸となって警戒・注視を続けます。
なお、最低動作環境を満たしているNVIDIA製グラフィックボードであれば問題なく動作するはずですが、同等のAMD製GPUにおいて発生しているフリーズ問題の軽減にも現在取り組んでいます。
現在のバージョン0.20で残っている問題の解消には、今後数ヶ月かかる見込みです。
その後、年末近くを目安に、パフォーマンスを維持したまま推奨環境を引き下げるアプローチへと焦点を移していく予定です。
継続的な目標
私たちの最低ラインは、安定した60FPSの実現です。この取り組みの手を緩めるつもりはありません。より多くの方にプレイしていただけるよう最低動作環境を下げ続けると同時に、ハイエンドマシン向けには、より高いフレームレートを引き出す機能を解放していきます。
またコンソール版においては、年内に安定した60fpsをベースラインとして実現することを目指し、その後競技モード向けの120fpsオプションの実装に取り組んでまいります。
皆さまへご協力のお願い
今回このアップデート情報を投稿したのは、皆さまからの質問・疑問にお答えすると同時に、実際に起きているパフォーマンスや安定性の問題をより正確に把握するためです。
ゲームをプレイする中で以下のような問題が発生した場合は、ぜひ公式Discordやアンケートを通じて、状況の詳細を共有してください。
クラッシュ/フリーズ
ゲームにログインできない・入れない
想定よりもFPSが低い/大幅なFPSの低下
Pingに関する問題
上記の問題の大部分はログを通じて追跡していますが、もしクラッシュ等でゲーム自体に入れない場合は、Shiftキーを押しながらクライアントを再起動し「診断(Diagnostics)」をクリックしてみてください。その診断情報をDiscordでお送りいただけると、問題解決の大きな助けになります。
皆さまの素晴らしいサポートに、心から感謝いたします。
引き続き、アーケロンをよろしくお願いいたします。
